世界をさわるSTUDY ABROAD, LIVE BEYOND.

ホーム›記事›費用と仕組み

留学費用は「総額」で見ないと分からない。見積もりに入っていない項目

エージェントの見積もりは正確でも、それが総額とは限らない。学費以外にかかるものと、見積もりを受け取ったときに自分で足し直すべき項目を整理する。

公開 2026-09-04更新 2026-09-08読了 約9分種別 現在の情報(確認日つき)

留学の見積もりを取ると、たいてい思ったより安い数字が出てくる。 そして渡航が近づくにつれて、少しずつ増えていく。

これは多くの場合、誰かが嘘をついているからではない。 見積もりは「その会社が手配する範囲」の金額であって、あなたが払う総額ではないからだ。

この記事は、相場を並べるためのものではない。相場は各社が詳しく出している。 ここで書くのは、見積もりを受け取ったときに、自分で何を足し直すかだ。

見積もりに入っていることが多いもの

会社やプランによるが、おおむねこのあたりは含まれている。

  • 授業料
  • 滞在費(ホームステイ、寮など。手配料と実費が分かれている場合がある)
  • 入学金・登録料
  • 空港送迎(含まれない会社も多い)

見積もりの外に出やすいもの

問題はこちらだ。見落とされやすい順に並べる。

先に前提を書く。以下の金額は渡航先で大きく変わる。 アジア圏(フィリピン等)と英語圏(米国・オーストラリア等)では、項目によって数倍違う。 「留学費用の相場」を一つの数字で語ることはできない。だからここでは、 単一の目安を出さず、渡航先ごとに分けて書く。

数字の種類を分けておく。 この記事には2種類の金額が出てくる。

  • 公的機関が公表している額(ビザ申請手数料、医療付加金)。出典のURLを示せる。改定されれば変わるが、その時点の正解が存在する
  • 市場の目安(航空券、保険、生活費)。売り手ごと・時期ごとに違い、単一の出典を示せない。下の数字は当時確認できた範囲の目安であって、公表された基準ではない

後者を前者と同じ精度で読まないでほしい。目安の数字は、自分の見積もりが桁外れでないかを確かめるためだけに使う。

1. 航空券

見積もりに含まれない会社が多い。行き先で倍以上違う。

  • アジア圏(セブ等): 往復およそ 5万〜10万円
  • 米欧線: 往復およそ 15万〜35万円

米欧線が高いのは燃油サーチャージが乗るためで、 2026年9〜10月発券分は欧米線の往復だけで約10万〜11万円が上乗せされる水準にある。 夏休みと年末年始はさらに上がる。留学の開始時期は、たいてい高い時期と重なる。

2. 海外留学保険

渡航先と年齢で大きく動く。 医療費の高い国ほど高い。

  • 米国・1年・50歳未満: おおむね 20万〜30万円
  • アジア圏・1年: 11万円台の例もある
  • 50歳以上で米国の場合、30万円を超える商品が多い

学校側が加入を必須にし、指定の保険しか認めない場合もある。 クレジットカードの付帯保険で代替できるかは、期間と補償内容で変わる。

3. 生活費

金額としては、ここが最大になることが多い。 そして一番読みにくい。

食費・交通費・通信費などの1年分で、確認できた目安はこのあたり。

  • 米国: 食費・交通・通信の合計で年85万円前後
  • オーストラリア: 年70万〜105万円(都市と住み方で動く)
  • 寮で食事込みのアジア圏: 年40万円台まで下がる

つまり40万円台から100万円超という2倍以上の幅がある。 平均値を自分に当てはめると必ず外れる。 行き先と住み方を決めてから積み上げるしかない。

4. ビザ申請と関連書類

ここは渡航先で桁が違う。 一つの目安でまとめると必ず外れる項目だ。

各国の公式情報から確認できた申請手数料そのものは、おおよそ次のとおり。 初出は2026年9月4日。2026年9月8日に各国の公式ページで再確認した結果を「再確認」欄に書く。

渡航先 申請手数料 円換算の目安 再確認(2026-09-08)
カナダ(就学許可) CAD 150 + 生体認証 CAD 85 約2.6万円 IRCC手数料一覧で一致を確認
米国(F-1) US$185(MRV)+ US$350(SEVIS I-901) 約8万円台 再確認できず(下記)
オーストラリア・語学学校(ELICOS) AUD 2,050 約23万円 公式ページに額の掲載なし(下記)
オーストラリア・大学等 AUD 2,500 約28万円 Subclass 500に「From AUD2,500.00」と記載
英国(Student visa・1年) £558 + 医療付加金 IHS £776/年 約28万円 gov.ukで£558、IHSで学生£776/年を確認

英国のIHSは保険ではなく申請時に必須の付加金で、海外留学保険とは別に必要になる。

オーストラリアの語学学校(ELICOS)の額について。 公式のSubclass 500のページは、費用を「From AUD2,500.00(限られた場合に減額あり)」と書き、 減額の対象として「ELICOS and Non-Award sector」の申請者を明記している。 減額後の具体的な額はこのページに掲載されておらず、Visa Pricing Estimator で算出する形になっている。 上表のA$2,050は初出時(2026年9月4日)の数字で、 2026年9月8日には公式ページ上で再確認できなかった。語学留学を検討している人は、 金額を当サイトの表ではなく見積もりツールで確認してほしい。

米国の額について。 2026年9月8日、travel.state.gov と ice.gov のいずれも 当サイトからの自動アクセスを拒否したため、再確認できていない。 上表の数字は初出時のもので、現在も同じかどうかはUNKNOWN。 米国国務省・ビザ手数料と I-901 SEVIS Feeをブラウザで直接開いて確認してほしい。 また米国では2025年10月から Visa Integrity Fee US$250 が制度化されているが、 在外公館での徴収運用が揃っていないとの報告がある(UNKNOWN)。

これに健康診断、証明写真、書類の翻訳・公証、大使館のある都市への交通費が上乗せされる。

金額は必ず渡航先の大使館・移民当局の公式ページで確認してほしい。 ビザ費用は改定が多く、この記事の数字もいずれ古くなる。

5. 為替

見積もりの円換算は、作成時点のレートで計算されている。 支払いが数か月先なら、そのときのレートは違う。円安に振れれば総額が増える。

見積もりを見るときは「いつ時点の、いくらのレートで計算していますか」と聞いておくといい。 まともな会社なら即答できる。

6. 帰国後

意外に忘れられる。帰りの荷物の送料、現地で解約できなかったものの残額、 そして帰国してから次の収入が入るまでの生活費。 休職や退職をして行く場合、ここが計画から抜けていることがある。

見積もりを受け取ったときに聞くこと

金額そのものより、構造を聞くほうが有効だと思う。

  1. この見積もりに含まれないものを、全部挙げてください
  2. 学費・滞在費・手配料・保険を分けて書いてもらえますか
  3. 為替レートはいつ時点の、いくらで計算していますか
  4. 申込後にキャンセルした場合、何がいくら戻りますか
  5. 同じ学校に直接申し込んだ場合と、何が違いますか

全部に答えられる会社なら、金額が多少高くても付き合う価値がある。 逆に、内訳を分けて出せない会社は、見積もりの精度もそこまでだと考えていい。

なお「手数料0円」をうたう会社の収益がどこから出ているかは、 別の記事に書いた。仕組みを知ってから見積もりを見ると、 数字の意味が変わって見える。

総額を1枚の紙に書く

やることは単純だ。見積もりの数字を、そのまま信じない。 上の6項目を自分で足して、1枚の紙に総額を書く。

そのうえで「この金額を、誰が、いつ、どうやって払うのか」を決める。 私は親に出してもらったので、この計算を自分でやらなかった。 それが後でどう効いたかは連載に書いている。


この記事の出典

公的機関が公表している額(2026年9月8日に再確認したもの)

再確認できなかったもの

  • 米国(MRV US$185、SEVIS I-901 US$350、Visa Integrity Fee US$250):2026年9月8日、国務省・ICE とも当サイトからの自動アクセスを拒否したため未確認。数字は2026年9月4日時点のもの
  • オーストラリア ELICOS の AUD 2,050:2026年9月8日時点で公式ページ上に掲載を見つけられず

出典を示せないもの

航空券・海外留学保険・生活費の金額(本文1〜3)は、公表された基準ではなく市場の目安です。 売り手・時期・条件で変わり、単一の出典を示せません。この記事では出典URLを付けていません。 桁の感覚をつかむためだけに使ってください。


ビザ手数料の初出は2026年9月4日、再確認は2026年9月8日です。為替は1USD≈155円、1GBP≈210円、1AUD≈112円で換算しています。特定の会社の見積もりを保証するものではありません。 ビザ手数料は改定が頻繁で、上表も更新が必要になります。 実際の費用は渡航先・時期・学校・年齢・為替で変わります。必ず公式情報と各社の見積もりで確認してください。

HK
筆者: 加藤寛明

1996年、新潟の高校からアメリカへ。米国の大学でジャーナリズムを専攻し卒業。帰国後は日本で働いたのち、ベトナムで就職。2016年からベトナム在住、日系企業の管理職。留学の手配や学校の紹介はしていません。プロフィールと編集方針