留学費用の記事は「1年でいくらかかるか」から始まるものが多い。 だが実際に必要なのは逆の計算だ。手持ちがこれだけある。何ヶ月行けるのか。
ここでは貯金200万円を前提に、3つのパターンを組んだ。 27歳・独身・現在は会社員、というモデルで計算している。
注意: 以下は2026年9月4日時点で確認できた公開情報から組んだ試算であり、 実際の見積もりではない。為替は1USD≈155円、1AUD≈112円で換算した。 学費は学校ごとに大きく違うので、幅で置いている。
パターンA:フィリピン・セブ島 6ヶ月
英語をやり直すことが目的で、費用を最優先する場合。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 授業料+滞在費+食費 | 90万〜120万円 | セブは学費に寮・食事が含まれるのが一般的 |
| 往復航空券 | 5万〜10万円 | |
| ビザ・SSP等 | 5万〜10万円 | SSPは期間を問わず必須 |
| 海外留学保険 | 6万〜10万円 | アジア圏は安い |
| 現地の雑費・小遣い | 20万〜30万円 | 週末の外出・通信費 |
| 小計 | 126万〜180万円 | |
| 帰国後の生活費(3ヶ月分) | 45万〜60万円 | 次の収入まで |
| 総額 | 171万〜240万円 |
判定: 学費が下振れすれば200万円で6ヶ月+帰国後3ヶ月が成立する。 上振れすると届かない。短縮する場合、期間に比例する項目(学費・保険・雑費)を月割りして組み直すと、 4ヶ月なら上振れでも約187万円で収まる。5ヶ月は上振れで約213万円になり、200万円を超える。 月割りは上の表からの当方の計算であり、実際の学校は週数ごとの料金表を持っている。 幅で置いた数字である以上、「この期間なら確実」とは言えない。 短縮する前提で組むなら、 学校ごとの料金表で自分の週数の行を確認してほしい。
残るもの: 1日7〜10時間のマンツーマン授業を数ヶ月。英語の土台を作る用途では効率がいい。 一方、欧米の学位や現地就労には直結しない。
パターンB:オーストラリア 6ヶ月(語学学校)
英語圏で暮らすこと自体が目的の場合。ワーキングホリデーではなく学生ビザを想定。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 授業料 | 90万〜120万円 | 週20時間程度の語学コース |
| 滞在費(シェアハウス等) | 60万〜90万円 | 都市による |
| 食費・交通・通信 | 35万〜50万円 | |
| 往復航空券 | 12万〜20万円 | |
| 学生ビザ(ELICOS) | 約23万円 | AUD 2,050・2026年7月改定 |
| 海外留学保険(OSHC等) | 10万〜15万円 | |
| 小計 | 230万〜318万円 |
判定: 200万円では6ヶ月は成立しない。 ビザだけで23万円かかるのが効いている。
なお、この学生ビザ(ELICOS)のA$2,050は2026年9月4日時点の数字で、 2026年9月8日に豪州内務省のSubclass 500のページを見た時点では、 減額後の具体的な額が掲載されていなかった(同ページは「From AUD2,500.00」と書き、ELICOS部門に減額があるとだけ記載)。 実額はVisa Pricing Estimatorで確認してほしい。
3ヶ月に短縮すると、授業料45〜60万・滞在30〜45万・生活18〜25万・航空券12〜20万・ ビザ23万・保険5〜8万で 133万〜181万円。帰国後の生活費を足すと200万円ぎりぎりになる。
残るもの: 英語圏での生活経験。ただし3ヶ月では語学力の伸びは限定的という声が多い。 なお学生ビザには就労条件があるので、稼いで補填する前提で組むなら必ず公式で条件を確認すること。
パターンC:休職して3ヶ月 + 帰国後すぐ復職
会社を辞めない場合。ここが貯金200万円だと一番現実的になる。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 留学費用(セブ3ヶ月) | 65万〜90万円 | パターンAの半分 |
| 往復航空券・ビザ・保険 | 15万〜25万円 | |
| 休職中の社会保険料(自己負担分) | 15万〜25万円 | 無給休職でも発生する |
| 日本側の固定費(家賃等) | 30万〜60万円 | 部屋を引き払わない場合 |
| 総額 | 125万〜200万円 |
判定: 収まる。しかも帰国後の無収入期間がない(復職するため)。 これがA・Bとの決定的な差になる。
見落としやすいのが社会保険料だ。休職中も休職前の標準報酬月額に基づいて発生し続け、 免除されるのは産休・育休だけ。私事都合の留学休職は免除の対象外になる。 無給なら本人負担分を毎月払うことになるので、事前に会社に確認しておく必要がある。
日本側の固定費も効く。部屋を引き払えば月々は浮くが、帰国後の初期費用がかかる。 どちらが安いかは残りの契約期間で変わる。
3パターンの比較
| 期間 | 総額 | 200万で足りるか | 帰国後の無収入期間 | |
|---|---|---|---|---|
| A セブ | 6ヶ月 | 171〜240万 | △ 条件次第 | 3ヶ月 |
| B 豪州 | 6ヶ月 | 230〜318万 | ✕ 届かない | 3ヶ月 |
| B’ 豪州 | 3ヶ月 | 133〜181万+帰国後 | △ ぎりぎり | 3ヶ月 |
| C 休職+セブ | 3ヶ月 | 125〜200万 | ○ 収まる | なし |
この表から読めること
「いくらかかるか」より「辞めるかどうか」の方が、金額への影響が大きい。
辞めると、留学費用に加えて帰国後の無収入期間の生活費が乗る。 3ヶ月で45〜60万円、転職に半年かかれば100万円を超える。 これは留学費用そのものより大きい変数になりうる。
だから貯金200万円という条件では、まず休職が使えるかを調べるのが先だ。 就業規則の休職事由に私事留学が含まれているか。それだけで選べる選択肢が変わる。 順番は社会人の4ルートに書いた。
自分の数字でやり直す
上の表はモデルであって、あなたの見積もりではない。 学費は学校で違い、滞在費は都市で違い、為替は毎日動く。
やることは、この表の項目を自分の条件で埋め直すことだ。 見積もりの外に出やすい項目はこちらに一覧がある。
そして、埋めたあとに残る金額を見て「これで足りるか」ではなく **「これを使って何が残るか」**で判断してほしい。 金額が足りても、残るものがなければ意味がない。私はそれで遠回りをした。
本記事の金額はすべて2026年9月4日時点の公開情報に基づく試算であり、 特定の学校・会社の見積もりを示すものではありません。 学費・滞在費・ビザ要件・保険料・為替は変動します。実際の判断は各社の見積もりと公式情報でご確認ください。