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留学しない方がいい人の条件。行った人間が正直に言う

留学を勧める記事は多いが、勧めない記事は少ない。1996年に渡米して遠回りをした筆者が、留学が向かない条件と、それでも行くなら何を決めておくべきかを書く。

公開 2026-09-04読了 約3分種別 現在の情報(確認日つき)

留学の情報を探すと、勧める記事ばかり出てくる。当たり前だ。 書いているのは、留学を売っている会社か、留学して良かった人だからだ。

私は1996年に留学して、そのあと長く遠回りをした。 だから「行かない方がいい場合」も、たぶん普通の人より具体的に言える。

先に断っておくと、これは脅しではない。条件が合えば行った方がいい。 ただ、合わないまま行くと高くつく。

1. 借金をして行く場合

これがいちばん強く言いたい。

留学は投資だと言われる。だが回収がいつになるかは誰にも分からない。 私の場合、留学が生活の役に立ち始めたのは10年以上あとだった。 その間に返済が始まっていたら、たぶん潰れていた。

奨学金や教育ローンが悪いという話ではない。返済開始の時期と、 帰国後に確実に入る収入の当てが、紙に書けるかという話だ。書けないなら、時期を変えた方がいい。

私は親に出してもらった。だからこの怖さを実感として語る資格はないかもしれない。 ただ、出してもらった人間として言えることはある。 お金を出した人は、あなたが思うより長くその判断を覚えている。

2. 「何かが変わる」ことを期待している場合

留学すると環境は変わる。だが中身は勝手には変わらない。

日本で人と話すのが苦手な人は、海外でも苦手だ。言語が変わっただけで人格は変わらない。 日本で勉強しない人は、海外でも勉強しない。監視がなくなる分、むしろ悪化することがある。

環境の変化が効くのは、変えたい具体的な何かがある人だ。 「英語で仕事の会議を回せるようになりたい」は具体的。「変わりたい」は具体的ではない。

私の動機は「東京が嫌だ」だった。これも具体的ではない。 だから行き先で目的を作り直すことになった。それができたのは運がよかっただけだと思っている。

3. 帰国後の居場所を、行く前に手放す場合

会社を辞めて行く。関係を切って行く。それ自体は選択肢としてある。

問題は、留学中に「帰る場所がない」という事実が効いてくることだ。 海外での生活は、慣れるまで確実にきつい。そのきつさに、帰り道がないという圧が重なると、 判断がおかしくなる。焦って進路を決めたり、合わない環境に居続けたりする。

休職で行けるなら休職で行く。籍を残せるなら残す。**戻る場所を持ったまま行く方が、 現地で強気になれる。**これは精神論ではなく、選択肢の数の話だ。

4. 期間が短いのに、成果を大きく見積もっている場合

1週間や2週間の留学に意味がないとは思わない。判断材料としては十分だ。 自分が海外で暮らせるかどうか、その環境が好きかどうかは、1週間でだいたい分かる。

ただし1週間で英語ができるようにはならない。当然だが、 パンフレットの写真を見ていると、なぜかできるようになる気がしてくる。

短期で行くなら、目的を「試すこと」に置いた方がいい。 成果を「英語力」に置くと、帰国後に必ず落胆する。

5. 誰かに勧められて、自分では決めていない場合

親、先生、恋人、エージェントの担当者。誰が勧めたにせよ、 現地で毎日を過ごすのはあなた一人だ。

きつい日に「なんでここにいるんだっけ」と考える瞬間が必ず来る。 そのときに自分の言葉で答えられないと、時間が長くなる。

それでも行くなら、決めておくこと

上の条件に当てはまっても、行きたいなら行けばいいと思う。 私も条件を満たしていたとは言えない。ただ、これだけは先に決めておくといい。

  1. 総額と、それを誰が払うか。 見積もりの外に出る費用も含めて (別記事に書いた)
  2. 帰ってきたときに、何があれば「行ってよかった」と言えるか。 英語力か、学位か、経験か
  3. 最悪の場合の撤退ライン。 合わなかったら何か月で帰るか

3つ目を決めている人はほとんどいない。だが決めておくと、現地での判断が軽くなる。 「いつでも帰れる」と思える人の方が、結果的に長く続く。

最後に

留学は、行けば必ず報われるものではない。私は報われるまでに17年かかった。 それでも行ってよかったと思っているのは、 留学が私に「外に出る」という選択肢を残していったからだ(連載に書いた)。

条件が合わないなら、時期をずらせばいい。留学は逃げない。 30代でも40代でも行っている人はいる。急いで条件の合わないまま行くことだけが、取り返しにくい。


この記事は筆者の個人的な体験と考えに基づくものです。 費用・制度・ビザの要件は渡航先と時期で変わります。実際の判断は最新の公式情報でご確認ください。

HK
筆者: 加藤寛明

1996年、新潟の高校からアメリカへ。米国の大学でジャーナリズムを専攻し卒業。帰国後は日本で働いたのち、ベトナムで就職。2016年からベトナム在住、日系企業の管理職。留学の手配や学校の紹介はしていません。プロフィールと編集方針